ブラウン管とGigaCrysta (液晶モニタ,応答速度0.5ms)の描画遅延差を検証

1.概要

今回はゲーミングモニタの実際の描画遅延についてです。

検証対象のゲームは毎度ヴァンパイアセイヴァー(CPS2)です。

今回、モチモチさんからGigaCrysta (応答速度0.5msの液晶モニタ)&ブラウン管での比較動画を撮って頂けたので、検証結果を書いておきます。

 

2.応答速度によるフレーム遅延の理論値

セイヴァー(CPS2)では1秒間の描画枚数は60フレームなので、仮に応答速度が1秒ある液晶モニタが存在した場合、60フレーム遅延が発生していることになります。
なので、そこから割り算すると、応答速度と遅延フレームレートの理論値が分かります。

応答速度→遅延レート
--------------------
1000ms →60フレーム
16.6ms →1フレーム
5ms    →約1/3フレーム
1ms    →約1/16フレーム
0.5ms  →約1/33フレーム

 

なので、応答速度が0.5msの液晶は理論値では5秒間(300フレーム内)に約9フレームだけ遅延が発生している可能性があることになります。

3.検証環境

上記を踏まえた上で、理論値はともかく、実際にブラウン管と液晶を比較すると、遅延って見えるのか?という実験です。
CPS2マザー基板にCPS2 Digital AV Interface(CPS2HDMI)というHDMI端子を追加するモジュールを使用するとアナログ出力とHDMI出力の同時出力ができます。

そのため、

(1)ブラウン管と液晶を並べて出力する

(2)60fps対応カメラで録画する

(3)録画をスロー再生する

ことで、どのぐらいの遅延があるか実測できるはずです。

 

モニターは下記を使用しています。
IODATA GigaCrysta 27インチ(75Hz) 応答速度 0.5ms(GTG)

www.amazon.co.jp

 

4.検証1(参考):過去の検証動画

まずは過去の検証動画を見てみます。
Marqs' CPS2 Digital AV Interface: Lag Testing

www.youtube.com

海外の方で液晶モニタ(応答1ms)で検証を実施しています。
時間7:00くらいの箇所を見ていただきたいのですが、
テストしている液晶モニタ(1ms)だと1/16ですので16枚中に1枚は遅延箇所があるところですが、何枚かほぼ毎フレーム毎に遅延が見えています。
これだと1/2フレーム以上ありそうなので実効遅延値は10ms程度あるようにみえます。
この動画を見たときは割と遅延がありそうと感じてはいたのですが、よくよく考えると想定より遅いですよね。


5.検証2:今回の検証結果

こちらは前述の液晶(左側)とブラウン管(右側)の映像をスロー再生してみました。

(1)5秒を10倍遅くして50秒(6フレーム/秒):ざっくり見たい人向け

www.youtube.com

 

(2)5秒を60倍遅くして5分(1フレーム/秒):じっくり見たい人向け

www.youtube.com


0.5msなので、300フレーム中9フレームぐらいの遅延があると推定されますので
これを1コマずつ見てみたのですが・・・・ん?遅延箇所無い!

唯一見つかったのが、残像が残っているフレームがある場合があったコマ

しかしフレーム遅延だと考えられる箇所は見つけれませんでした。
こっちはもしかしたら実効応答速度は0.5ms以上なのかもしれません。

あと、興味深い事に、この液晶にはスルーモードという低遅延モードがあるのですが、スルーモードの動画も貰って比較してみた所、ほぼ毎フレームに遅延が出ていたので10ms以上の遅延が発生しているように見えました。

6.結論

検証1については、なぜ想定以上の遅延が発生していたかはよくわからないです。
検証2については、スペック値以上に遅延が無いように見える素晴らしい結果だと思います。75Hz描画してるから遅延分もフォローできているということなのかなあ。
 スルーモードでは良い結果が出なかった点については、よくわからないところです。


検証1が想定より遅延があった理由の推定としては下記の理由が考えられます。
 (1)検証1は低遅延モードを使用していた
 (2)CPS2HDMIのファームVerの差による改善。検証2は0.91、検証1は0.90以前?

 

上記の結果から、ブラウン管と液晶モニタの応答差はもう感じる事ができないくらいのレベルに達していると思います。
以前は5万円くらいした液晶ですが、すでに2万円台に達しており、ボーナス出たら買いたいとこです。
あとトッププレイヤーにも使ってもらって意見聞いてみたいところですね。

 

ちなみにコントローラの入力遅延に関してもちゃんとした環境だと
ほぼ0に近い状態にまでなっているようですが、こちらについては
また別途整理して書きます。

 

以上